ややスパイスに不足?欠如はパプリカ?
夜か朝かわからんこの時間。
眠れないときに時折思い出す、小さい頃のちょっとした幻想。
両親のいないだだっ広い寝室で、暗闇の中虚空を見つめてたら毎晩現れる、あれはイワシの大群みたいなもの。
小さな粒が塊になってゆるやかに、散っては集まり流れた。
それを見て何を感じるでもなく眺めて、いつの間にか寝入った。
幻想なのか夢なのか、今でもわからん。
今日は、amazonプライムで4年ぶりくらいに映画「パプリカ」を観た!
音楽は平沢進。
最高かよ・・・。
敦子の二面性(パプリカ/敦子)、自分の見る夢と他者の見る夢、夢と現実、フラグを回収しながらその隙間を往き来する、恍惚ドーピングアニメ映画。
1.マッドサイエンティスト時田が発明した「DCミニ」は人の夢を覗いて入り込むことができる装置。アクセス制限が不十分な未完成品。
2.パプリカは敦子の変身願望が産んだ別人格のサイコセラピスト。
3.何者かにDCミニを盗まれて悪用され、他人の夢に不正に介入するテロが起きてしまう。
4.時田の才能に嫉妬していた同僚 氷室に容疑がかかる。
5.氷室は白で、むしろ被害者だった。
じゃあ黒幕は誰?っていう流れ。
パプリカは敦子だけど敦子じゃない。
敦子はパプリカだけどパプリカじゃない。
敦子自身に欠けてるもので出来ているパプリカ。
敦子:クールビューティ、頭脳明晰、感情がフラット、頭でっかち、頑固
パプリカ:おてんば、利発、表情豊か、柔軟、自分に正直
敦子が子どものまま大人になったようなマッドサイエンティストの同僚 時田のことを好きだったのは、彼が天才だからではない。
なのに、黒幕の下僕だった小山内は、敦子に片想いをしていて、それも自分は敦子に振り向いてもらえない、敦子にふさわしい相手でないと思い込み、勝手に時田に嫉妬心を抱いている。
小山内は勝手に想いをこじらせて、夢の中で敦子の身動きを封じ、理性を失って敦子の身体を奪おうとする(見方によっては奪っている)。
そこから敦子/パプリカを救って連れ出す粉川刑事は、パプリカに対して断固として「映画が嫌いだ」なんて言い張っていた。
でも、本心は嫌いなのではなくて、共に刑事モノの映画を自主制作し、共に映画を作っていこうと誓った親友と、その夢を叶えられないままで、親友に先立たれた過去を胸に秘めトラウマになっていた。
その親友に、夢の中で「気にすることなかったんだぜ。俺たちの映画を地でいったんだ、お前は。嘘から出たまことじゃないか。大事にしろよ。」と言われる。
自分は凡才であいつが天才だから叶わないのだ、と時田に嫉妬していた小山内に、「気にすることなかったんだぜ。」と言ってやりたくなるんだぜ。
終盤に、現実が夢と入り混じって破壊される街でパプリカに挑発されて、敦子は世界を救うことより、(敦子本人もそれまでちゃんと自分の愛情を認めてきれていなかったけど)愛する人を優先してしまう。
パプリカは黒幕のもとへ、敦子は時田のもとへとそれぞれの方向に分かれてしまうけど、そのときこそ敦子がパプリカと少し重なった瞬間。
セラピーされたのは他でもない敦子自身なのだ。
だからこそ、終始、パプリカと敦子のやりとりから目が離せない。
夢とは、現実世界で抱く願望と、忘れられないツラい記憶の集積したものなんだ。
敦子のオクテな乙女心、粉川刑事の親友へのリグレット、小山内の嫉妬心・・・。
この映画で描かれる「夢」の「幻想っぽさ」が緻密に丁寧にガチャガチャと描かれてる。
そこに平沢進の音楽。
見て聴いて考えて楽しい映画ですな。
唐突だけど、「夢」って言葉、英語の「dream」もだけど不思議じゃない???
夢=目標とかdream=goalとか
同義のように使われるやん?
なら、夢⇔現実で、dream⇔real?????
でも、寝ていて見るのも、目標も「夢」で、「dream」でしょ?
でも、寝ていて見るものを「目標」とか「goal」とは言わんやん???
「目標」「goal」の対義語は「現実」「real」だとしたら夢も希望もない。
ただ、「目標」を「夢」に置き換えると、実現しなさそうな感じになるなーって私は思うんだけど。
とはいえ、こういう、違う言語なのにこんなにも似るんだもの、「あぁ、人類みな同じこと思ってきたのかな」って思うよね。
たとえば、もし仮に「結婚」の概念を一切知らない人に「結婚」をどう説明する?
そのとき私は説明の仕方に自信持てないんだけど、説明するまでもなく、どこにでも「結婚」っていう考え方が存在するの不思議じゃない?
不思議だよね。
とか、こんな、考えても仕方ないようなことを考えてたら、ほらご覧、窓の外が明るくなってたよ(真顔)
寝ても夢見ない私だけど、そろそろ夢でも見に行こうか。
ややスパイスに不足?
欠如はパプリカ?
パプリカ面白いからみんな観てけろー。