内部からくさる桃

 

最近ベッドで過ごす時間が長いので

散らかりホーダイの枕元。

 

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本は読了してるものほとんどないってくらい全部ちょびっとずつ読んでる。

 

当然、どんな話だっけ?ってわからなくなって少し遡って読むから、3歩進んで2歩下がる、さながら水前寺清子流です。

 

漫画はばばばばーっと読めるのに。

 

長文読むの苦手で、目で文字をなぞるのに頭が追いつかなくて。

活字を読むことの苦手意識がいつまで経っても克服できない。

 

絵本すら読めないで、10歳くらいまで愛読書はいつも図鑑だった。

それは動物、恐竜、昆虫、魚、鳥などなど。

学名とか分布まで覚えてるものもあったくらい。

 

このままじゃまずいな、とはずっと思いつつも未だに読書苦手で、だけど、頑張って読むよ!ウー!ハーッ!

 

適応障害を患ってしまったけん、皮肉にも時間がたくさん出来たし、今こそ。

 

 

そんで、最近のお気に入りは谷川俊太郎茨木のり子詩集。

買ってよかった。

 

ひとびとは探索しなければならない
山師のように 執拗に

〈埋没されてあるもの〉を
ひとりにだけふさわしく用意された
〈生の意味〉を

(「内部からくさる桃」より抜粋)

 

「わたしが一番きれいだったとき」「自分の感受性くらい」あたりしか知らなかったけど、詩集の中に私が欲しかった言葉がたくさんあった。

 

何のために働いて何のために生きてるのか、生きるために働くのか、働くことに生きるのか、考え出すとすぐ迷子になるし、聞かせてくれと言われれば戸惑う。

 

わたしだけにふさわしく用意された

〈生の意味〉を

焦らずじっくり探させてほしい。

 

最後に全文をご紹介して、おやすみなさい〜。

 

「内部からくさる桃」

    茨木のり子

 

単調なくらしに耐えること

雨だれのように単調な……

 

恋人どうしのキスを

こころして成熟させること

一生を賭けても食べ飽きない

おいしい南の果物のように

 

禿鷹の闘争心を見えないものに挑むこと

つねにつねにしりもちをつきながら

 

ひとびとは

怒りの火薬をしめらせてはならない

まことに自己の名において立つ日のために

 

ひとびとは盗まなければならない

恒星と恒星の間に光る友情の秘伝を

 

ひとびとは探索しなければならない

山師のように 執拗に

 

〈埋没されてあるもの〉を

ひとりにだけふさわしく用意された

〈生の意味〉を

 

それらはたぶん

おそろしいものを含んでいるだろう

酩酊の銃を取るよりはるかに!

 

耐えきれず人は攫む

贋金をつかむように

むなしく流通するものを攫む

 

内部からいつも腐ってくる桃、平和

 

日々に失格し

日々に脱落する悪たれによって

世界は

壊滅の夢にさらされてやまない。